2018.03.16 Fri | US INFO
あなたが子どもの話を聞けていない科学的理由。
はい、ここで質問です。
「あなたは、お子さんの言うことをちゃんと聞けていますか?」
「はい!」と答えた、そこのあなた。本当に本当?本当に聞けていますか?
「人は一分間に125~175単語を話すことができるが、聞くことができるのは450単語である」というリサーチ結果があります(Carver, Johnson, & Friedman, 1970)。ということは、話し手よりも、聞き手の方が、脳内で情報を処理するスピードが速いので、聞き手側に余裕が生まれます。余裕が生まれるとどうなるか?
聞き手は、話を聞きながらも、別のことを考えたり、話し手の言うことに対し自分の意見を頭の中で展開するようになります。あなたにも身に覚えがありませんか?子どもが一生懸命話しているのに、聞いているふりをしながらも、「あと10分したらご飯が炊けるから、そしたら夕食のおかずを作りはじめて・・・。」とか、「どうしてこの子は、いつも文句ばかり言うのかしら?」とか、無意識に考えている時、ありませんか?
残念ながら、この時点であなたはお子さんの話を聞いていないことが大決定です。少なくとも、あなたのお子さんは、「パパやママは僕の話を聞いてくれている」とは感じていないはずです。
コミュニケーションは、相手がどう感じるかがすべてです。自分が話を聞いている、と思っていても、相手がそう感じていないのであれば、残念ながら、それは良いコミュニケーションとは言えません。
子どもは敏感なので、パパやママが真剣に話を聞いてくれていない、ということを瞬時に察知します。そうすると、今度は「どうせ話を聞いてくれないのだから、話しても無駄だから話さない。」→「僕の話を聞いてくれないのに、どうしてママの言うことを聞かなければいけないの?」という思考回路に陥ります。
それでは、どうすれば、子どもに「あなたの話をちゃんと聞いているよ」というメッセージを送ることができるのでしょうか?今日から実践してほしいポイント5つを、下にあげてみました。
1)作業は一時中断。
まずは、子どもが話しかけてきたら、自分がやっている作業をいったんストップしてください。家事や仕事の最中であったとしても、できる限り手をとめて、お子さんに集中してください。
2)目線を合わせる。
これは「基本のき」です。上から見下ろすのではなく、自分がしゃがんで、子どもと目線を合わせて下さい。
3)子どもの話を遮らない。
子どもが一生懸命話しているのに、「ちょっと待って。でも、ママが(パパが)思うに・・・。」とあなたが話を遮るようなことはしないでください。あなたがどんなに優れた意見や考えを展開しようと思っていても、です。だって、子どもは、ただ話を聞いてほしいだけかもしれない。答えなんて求めていないかもしれないのです。特にパパは、この点をよく覚えておいてほしいと思います。なぜなら、男性は、誰かに相談をもちかけられると、「解決策を求められている」と思いがちだからです。奥さんに言われたことないですか?「私は別にあなたの意見を聞いているわけじゃない。ただ、話を聞いてほしいだけなのよ!」って(笑)子どもだって同じです。まずは、子どもの話をじっくり聞いてあげてください。そのあとで、子どもが求めてきた場合には、自分の考えをシェアしたり、解決策を一緒に探っていきましょう。
4)相槌をうつ。反復する。
話を遮るな、と言いましたが、相槌は別です。「なるほど~。」とか「それは大変だったね。」とか、要所要所で「私はあなたの話をちゃんと聞いているよ」というメッセージを送ってあげて下さい。また、子どもの言ったことを反復するのもおススメです。子供が「私は悲しかったんだ。」と言ったとすると、「そうか、〇〇ちゃんは悲しかったのか。」という風に。
5)わからないところを質問する。
子どもが話を終えたあとで、「ママ、ここのところがよくわからなかったんだけど、もう少し詳しく説明してくれる?」という風に、子どもに質問を投げかけてください。質問をされることで、子どもは、「パパやママは、僕の話をちゃんと聞いてくれている。興味をもってくれている。」と感じることができます。
この5つのことを守ろうとすると、自然に「積極的に話を聞く」ようになっている自分に気づくはずです。積極的に話を聞くようになると、話を聞きながら別のことを考えたりする暇がないことに気づくでしょう。そう、「聞く」って、けっこう集中力を必要とするものなのです。
でも、本当に忙しくて、ゆっくり話を聞けない時だってありますよね?そういう時は、お子さんに、「ママ、今〇〇をしていて、手が離せないの。△ちゃんのお話、ちゃんと聞きたいから、〇〇が終わったら、ゆっくりお話しを聞くね。」と、今話を聞けない理由を説明してあげてください。そして、用事が終わったら(今回の場合、〇〇が終わったら)必ずお子さんのところに行って、話を聞いてください。
「聞く」って、簡単なようで、意外に大変でしょ?ぜひ、うえで上げたポイントを意識して、今日からお子さんのお話を聞いてあげてくださいね。
Written by マレー上野真衣子