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2018.07.13 Fri | US INFO

アメリカで教育 | 帰国子女受験

帰国生公立高校入試の現状と対策

 

公立高校入試は、都道府県によって異なる方式で実施されますが、一般的には、中学校の調査書(成績や活動の記録など)と学力検査を総合的に審査し、合否が判定されます。学力検査は、国語、社会、数学、理科、英語の5教科が課されるのがほとんどです。そして、中学校の成績は、国語、社会、数学、理科、英語、技術・家庭、保健・体育、音楽、美術の9教科の5段階評価の成績を点数化し、学力検査の点数と合算して評価されます。

 

帰国生入試では、調査書に代えて成績証明書を提出しますが、国や地域によって履修科目や評価方法が異なるため、点数化はされず、参考程度に利用されるケースが目立ちます。つまり、学力検査の点数で合否が決まるともいえます。学力検査の出題教科は、都道府県によって異なり、約半数が受験教科の負担が軽減されています。その多くが、社会、理科を課さず3教科受験としています。その代わり、作文や小論文が課されるところが目立ちます。

 

学力検査の出題教科数
①5教科:23道県(北海道、青森、岩手、秋田、山形、千葉、富山、石川、静岡、愛知*、滋賀、和歌山、鳥取、島根、山口、徳島、香川、愛媛、高知、佐賀、宮崎、鹿児島、沖縄)*愛知の合否判定対象科目は、国・数・英の3科目
②5教科または3教科:2県(宮城、大分)
③3教科:15都府県(茨城、栃木、群馬*、埼玉、東京神奈川、山梨、長野、福井、岐阜三重、京都、広島福岡熊本)*群馬は、総合問題の学校もある
④2教科:3府県(新潟大阪奈良
⑤学力検査なし:4県(福島兵庫、岡山、長崎
赤字の府県は作文または小論文も課される。

 

出題教科や教科数は都道府県によって異なりますが、出題範囲や出題レベルは教科書に準じています。公立高校合格のためには、教科書の内容をしっかり習得することが大切です。また、ほとんどの公立高校で面接が課されますので、受験校の志望理由や海外での生活のことを説明できるよう準備することも必要です。

 

帰国生の受け入れも都道府県によって異なります。北海道、福島、千葉、東京、神奈川、富山、石川、静岡、愛知、三重、京都、大阪、兵庫、奈良、岡山、福岡、大分の17都道府県では、帰国生を受け入れる公立高校が特定校に定められています。つまり、特定校のみで帰国生としての配慮がなされ、特定校以外の高校を受験する場合には、国内生と同じ扱いがされるということです。一方、上記以外の県では、すべての公立高校で帰国生を受け入れ、帰国生として配慮されます。ただし、特定校にはある程度の帰国生が在籍していますが、特定校でない高校では帰国生が在籍したことがないという学校が目立ちます。また、特定校でも多くの帰国生が在籍しているわけではありません。全国の公立高校の中で、帰国生が10人以上在籍しているのは、30校ほどしかありません。帰国生が20人以上在籍している公立高校は、以下の通りです。

 

帰国生が20人以上在籍している公立高校
東京都:国際三田、竹早、日野台
神奈川県:横浜国際、神奈川総合、鶴嶺
横浜市:東
静岡県:浜松北
愛知県:千種豊田西、刈谷北
大阪府:住吉、千里
神戸市:葺合
青字の高校は50人以上在籍

 

公立高校の入試制度は、変更されることも多いので、受験を希望される都道府県の教育委員会のホームページをご覧いただくか、直接お問い合わせください。

 

Written by 丹羽 筆人

丹羽 筆人

米日教育交流協議会・代表
河合塾在職後、十数年にわたりCA・NY・NJ州の補習校・学習塾にて指導。現在はミシガン州デトロイト補習授業校講師。2006年に「米日教育交流協議会」を設立し、日本語・日本文化体験学習「サマーキャンプ in ぎふ」を実施。他に、河合塾北米事務所アドバイザー、名古屋国際中学校・高等学校アドミッションオフィサー北米地域担当。
●ウェブサイト:www.ujeec.org