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2018.08.01 Wed | US INFO

アメリカで教育 | 帰国子女受験

帰国生高校入試の受験対策

 

前回まで帰国生高校入試の概要についてご説明しましたが、帰国生高校入試で合格するためには、どのような学習をすればよいでしょうか。アメリカでは多くの子どもが平日は現地校に通学して、英語環境で学習しています。また、帰国予定の子どもの多くが、土曜日は補習校に通学しています。まずは、補習校で学習している教科書の内容をしっかりと修得することが大切です。帰国生高校入試の出題教科は国語、数学、英語ですが、社会や理科も含め、教科書の内容を理解していないと高校入学後に苦労することになります。多くの補習校では英語は学べませんし、社会や理科は学べないところもあります。また、補習校が家の近くになく通学できないということもあります。このような場合でも、教科書はすべての教科分を無償で入手できますので、自学自習するとよいでしょう。

 

教科書の学習に加えて、受験校の入学試験で出題される教科については、問題集や通信添削などを利用して、問題を解くことに慣れる学習することをお勧めします。近くに学習塾があれば利用するのも効果的ですが、現地校や課外活動、習い事などとの両立が無理なくできるよう考慮が必要です。

 

ここで、帰国生高校入試において、多くの高校で出題される国語、数学、英語の学習方法について、ご説明します。

 

《国語》
多種多様な分野の文章を多読する。「書く」習慣を身につける。読解問題は、詳しい解説のある問題集で練習するとよい。古文や漢文の単独での出題は多くはないが、課題文内に取り上げられ、古典の知識を要する出題もある。文法、ことわざ、慣用句、四字熟語、文学史などは、覚えれば確実に得点になる。

 

《数学》
計算を暗算でスピーディーに行う練習をする。最短解法を身につけるため、時間を計って問題を解く。計算問題は答えのみでなく途中式も書く。証明問題での説明方法など日本式の解答方法に慣れる。難関高校の入試問題では、高校数学で扱う内容まで学習しておいたほうが有利。

 

《英語》
文法をしっかりと学び、入試問題を解く練習を積む。現地校で英語で学んでいるので、テストで得点できると思ったら大きな間違い。英語でのコミュニケーション能力を評価する方向にシフトしているとはいえ、未だに「文法」を中心とした出題傾向が目立つ。丁寧な解説がついた参考書で言葉の決まりを確かめながら、入試問題集に取り組むとよい。一方で、英検やTOEFLなども積極的に受験したい。英検では準1級合格、TOEFLではiBTで79以上のスコアが獲得できれば、難関校の推薦入試出願資格が得られる。

 

また、帰国生高校入試では、ほとんどの高校で面接が課されます。面接で質問される内容は様々ですが、必ず聞かれることに的確に回答できるようにするための準備のポイントを以下に記します。

 

①志望理由を明確にする。
学校ごとの特徴を十分に理解し、「なぜ入学したいのか。」という理由を言えるようにする。

②将来の目標を持つ。
卒業後の進路と高校時代にやりたいことが結びつくことが望ましい。

③自分をアピールする。
長所や特技を言えるようにする。部活動やボランティア、生徒会活動なども行うとよい。

④海外で暮らした経験を説明する。
自分が暮らしている国や地域、通学した学校の特徴を理解し、説明できるようにする。

⑤興味や関心について語る。
気になるニュースの内容や問題点・解決法など、また、好きな本の書名・著者名・あらすじ・好きなところなどをまとめ、説明できるようにする。

 

これらのポイントは、面接だけでなく作文や小論文の対策にもつながります。勉強だけでなく、海外生活でしかできない体験を、より多く実践することが大切です。

 

Written by 丹羽 筆人

丹羽 筆人

米日教育交流協議会・代表
河合塾在職後、十数年にわたりCA・NY・NJ州の補習校・学習塾にて指導。現在はミシガン州デトロイト補習授業校講師。2006年に「米日教育交流協議会」を設立し、日本語・日本文化体験学習「サマーキャンプ in ぎふ」を実施。他に、河合塾北米事務所アドバイザー、名古屋国際中学校・高等学校アドミッションオフィサー北米地域担当。
●ウェブサイト:www.ujeec.org