2018.02.14 Wed | US INFO
妊娠期の栄養素
今回も記事をお読みいただきありがとうございます!
DCは寒いと聞きますが体調お変わりないでしょうか。妊婦さんは特に、ホルモンバランスの変化や、筋肉量の低下や、血行不良などにより、冷えやすい体質に変わります。冷えは、お腹が張りや、腰痛や便秘、足のむくみやこむら返りなどを起こします。身体を温める食事や、軽い運動、湯船につかる、服装を見直すなどし、身体を冷やさないようにしていきましょう!
さて今回は、前回の妊娠期の体重管理に続き、妊娠期の栄養素についてのお話です。
―アメリカと日本の食事指針について
私の主観ですが、日本の病院勤めの経験とアメリカでの妊娠初期からの通院の経験から、妊娠期の食事についてのアドバイスをもらえる場が少ないように感じます。体重の管理と同様に、ご自身でお腹の赤ちゃんに良い食事とはどのようなものか調べ、実践していくことが大切でしょう。
アメリカでの指針がないか、と言えばそうではなく、妊婦のための食事指針がアメリカ農務省(USDA)から出ています。妊娠期の理想的な食事方法や、意識的に摂りたい栄養素、避けるべきものが挙げられ、抑えるポイントは日本と変わりません。むしろ、葉酸に関しては、日本の厚労省から出ているものと比べると、欧米での研究が進んでいる印象です。両国ともに言われるのは、優れた食生活はおなかの赤ちゃんの健康を良くし、未熟児出産や、死産、先天異常、低出生時のような問題を起こす確率を大幅に減少させるということ、そして産後の回復も高めるということです。サプリメントの使用は医師の判断に委ねましょう。
なお、アメリカ農務省が示している理想的な食事内容に関しては、
こちらへアクセスし、年齢、体重、身長、身体活動レベル、性別、妊娠しているか否かを入力します。ご自身の適切なカロリー量で何をどれくらい食べたらよいかといった、食品グループの目標を知ることが出来きるようになっています。ご興味がある方はアクセスしてみてくださいね。
―では、どのような食事が良いの?
日本の食事の方法は、主食の米飯を中心に複数の副食や汁物を組合せますね。多種の食材を取りいれるため、栄養素に富み健康的です。お母さん、お腹の赤ちゃんが低栄養にならないように、一日三食、バランスよく食べることが大切ですが、妊娠したら健康な成人以上に必ず取りたい3つの栄養素があります。それは、「葉酸、鉄分、カルシウム」です。これらの栄養素は産後の身体を整え、母乳の出を助けてくれます。3つの栄養素を紹介いたします。
―葉酸
ビタミンB群の一種で、細胞分裂を促し、貧血を予防します。赤ちゃんの身体の器官の基礎が形成される4~12週に特に積極的に摂りたい栄養素です。初期に摂ることで神経系閉鎖障害などの発症リスクを軽減します。妊娠の初期のはじめは、妊娠に気づかない方も少なくないため、妊娠を望む方は、妊娠前から葉酸を意識した食生活を勧めします。葉酸不足から起こる貧血(巨赤芽球性貧血)もあるので、鉄分と合わせて摂っていきたいですね。一般女性の一日の推奨摂取量は240㎍で、妊婦さんはプラス240㎍の負荷量、妊娠期は480㎍が推奨される摂取量になります。
葉酸を多く含む食品
レバー、芽キャベツ、ブロッコリー、ほうれん草、アスパラガス、アボカド、ケール、
キャベツ、ビーツ、いちご、バナナ、キウイフルーツ、納豆、アボカド、海苔 など
―鉄
赤血球のヘモグロビンの成分となり、酸素の運搬に重要な役割を担っています。妊娠中は、胎盤やへその緒を通してお母さんの血液から栄養を吸収し、成長に必要な栄養素をつくります。そのため、より多くの鉄分が必要になります。鉄材には、胃のむかつきや便秘などの副作用があることもあるので、できるだけ食品から摂ることをお勧めします。妊娠していない成人女性の場合、推奨量は一日約6.5㎎ですが、妊娠中には初期は+2.5㎎、中期と後期は+15.0㎎の負荷量が推奨されています。
鉄を多く含む食品
レバー、牛ヒレ肉、レンズ豆、大豆製品(豆乳、油揚げ、木綿豆腐、納豆)、ひじき、
松の実、アーモンド、ごま、ケール など
※植物由来の鉄分は体に吸収されにくいのですが、ビタミンCが豊富な野菜や果物やと一緒に摂ると吸収力が上がります。
※レバーにはビタミンAが多く含まれますが、特に器官を形成する時期にあたる妊娠初期の過剰摂取は胎児に奇形を起こす可能性を高めるとされています。妊娠中のビタミンA1日摂取量は2,000~5,000IUですが、レバーには100gあたり3,700~47,000IUものビタミンAが含まれます。妊娠初期の方や、妊娠を計画されている方は取りすぎにならないように注意しましょう。
―カルシウム
骨や歯の発育に欠かせない栄養素です。赤ちゃんは、自分の身体の成長に必要なカルシウムを、胎盤を通して優先的に受け取り、骨や歯がつくられます。統計より、日本人は慢性的にカルシウムが不足気味のため、意識的に食事から摂る必要があるでしょう。極端に不足すると、お母さんの骨からカルシウムが溶け出し、将来的な骨粗鬆症に繋がることも考えられます。一日の推奨摂取量は650㎎です。
カルシウムを豊富に含む食品
牛乳、ヨーグルト・チーズなどの乳製品、骨ごと食べられるいわしやサーモンのオイル漬け缶、木綿豆腐、厚揚げ、葉物野菜、カルシウムが添加されたシリアルや飲料 など
3つの大切な栄養素についてご紹介いたしましたが、いかがでしたでしょう。妊娠中の栄養状態が良ければ、出産後の母体の状態も早く整えられます。これからの妊娠を望んでいる方も。まずは食事の中での栄養の改善から始めてみましょう。
次回も妊娠期のお話です。注意をしたい食べ物について触れていきます。
【参考資料:各食材における上記3栄養素の含有量】
七訂日本食品標準成分表より
①葉酸を多く含む食品 単位㎍(おおよその1食分)
・鶏レバー :650(50g)
・芽キャベツ :144(60g・大3個)
・ブロッコリー :126(60g)
・ほうれん草 :110(100g)
・アスパラガス :114(60g・太2本)
・いちご :72(80g・大2粒)
・アボカド :70(半分)
・ケール :60(50g)
・焼きのり :57(1枚)
・ビーツ :55(50g・1/4個)
・納豆 :48(1パック)
・キャベツ :39(50g)
・キウイフルーツ:36(1個・中位)
・バナナ :26(中1本)
②鉄を多く含む食品 単位㎎(おおよその1食分)
・鶏レバー :5.4(60g)
・レンズマメ・乾 :2.8(30g)
・牛ヒレ肉 :1.7(60g)
・豆乳 :1.7(140ml)
・ひじき・乾 :1.7(3g)
・ごま :0.9(大さじ1)
・ほうれん草 :0.9(100g)
・松の実 :0.6(10g)
・アーモンド :0.5(10g)
・ケール :0.4(50g)
③カルシウムを多く含む食品 単位㎎(おおよその1食分)
・普通牛乳 :150(140ml)
・チーズ(チェダー) :148(20g)
・プレーンヨーグルト :120(100g)
・いわしのオイル漬け :110(30g・一片)
・ケール :110(50g)
・ごま :108(大さじ1)
・木綿豆腐 :90(1/4丁)
・ほうれん草 :69(100g)
・チーズ(モッツァレラ):66(20g)
・納豆 :36(40g・1パック)
Written by 中村理紗