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2018.05.18 Fri | US INFO

アメリカで子育て | 子供の食

妊娠中に気をつけたい食材

今回は妊娠中に気をつけたい食材と、その食べ方や選び方について、食材の種類別にお伝えします。

前回、ビタミンAを多く含むレバーに関してお伝えしましたが、良質な栄養素を含む食品の中にも妊娠中は、摂取する量や回数を制限する方が良いものがあります。

 

 

1.魚介類

①注意点

良質なたんぱく質や、DHAやEPA※を多く含む食材である魚介類は、妊娠・出産・授乳期に摂ると良い食材です。

ただし、魚に蓄積するメチル水銀が問題視されており、特定の魚をたくさん食べるなどの偏った食べ方は、胎児の中枢神経系に影響を与える可能性があると言われていることから、注意が必要です。マグロ類、サメ類、深海魚類、鯨類(鯨、イルカ)がこれに当たります。

 

※DHA・EPA

・まぐろ、さんま、さば、いわし、あじ、ぶりなどの青魚に多く含まれる動脈硬化や高血圧症などの症状を予防するのに、有効に働く栄養素です。体内ではほとんど作られません。

・働きはそれぞれに異なり、DHAは、血管や赤血球の細胞膜をやわらかくする働きにより血流を促し、EPAは高い血小板凝集抑制作用により血栓をつくらせないことで血流を良くする効果があります。

・また、DHAは神経系に働きかけ、脳の活動を活性化させる重要な成分ともされており、脳が作られる成長が著しい時期に大切な栄養素です。

 

②注意すべき魚の例

1回に食べる量を80gとして、一週間あたり以下の回数以内に抑えましょう。

▶2回まで

マグロ類(tuna)、サワラ(mackerel Spanish/Atlantic)、アメリカロブスター(lobster/Northern, American) 、ビンナガマグロのツナ缶(canned albacore)

▶1回まで

メカジキ(swordfish)、マカジキ(marlin)、サメ類(shark)、サワラ(mackerel king)

▶避けるもの

アマダイ(tilefish)

 

※特に注意が必要ないもの

大西洋サバ(Atlantic mackerel)、アンコウ(monkfish)、イワシ類(sardines)、オヒョウ(halibut)、カラフトマス(pink salmon)、カレイ類(flounder)、サケ(salmon)、サバ(mackerel)、スナッパー(snapper)、タラ(cod)、ナマズ(catfish)、ニジマス(rainbow trout)、タラ類(haddock)、

貝類、イカ、カニ、上記以外の海老類、ライトなど上記以外のツナ缶

 

※日本の厚生労働省HP『魚介類に含まれる水銀の調査結果』にまとめられている『諸外国(米国、英国、EU諸国)における魚介類に含まれる水銀の調査結果まとめ』の数値を元に、一週間当たりに食べる量の制限を分類、紹介しています。特にDCやMDのスーパーで目にしやすい魚を抜粋して、紹介しました。

 

③予防方法

魚を食べる時は、上記を参考に魚種・量に注意しましょう。

 

 

2.ソフトチーズや滅菌されていない牛乳など

①注意点

リステリア感染症に注意をする必要があります。リステリア菌は冷蔵保存に耐性を持つため、冷蔵庫に長期保存されて、加熱せずにそのまま食べられる食品に注意が必要です。妊娠中は一般人よりも感染しやすく、流産、死産、早産に繋がる可能性があるため、以下のような食品は避けた方が賢明です。

なお、米国ではこれまで、ナチュラルチーズ、生ハムなどの食肉加工品、スモークサーモンなどの魚介類加工品、コールスローなどのサラダで集団食中毒がありました。

 

②避けた方が良い食品の例

・生ナム、パテなどの食肉加工品

・未殺菌、加熱をせずに作られるナチュラルチーズ

・スモークサーモン、パテなどの魚介加工品

・刺身、寿司

(衛生管理の行き届いた日本では滅多に発生しませんが、海外で食べるものは特に注意が必要でしょう。)

・冷蔵保存でそのまま食べられるもの

 

③感染予防方法

・原因となるものは避ける

・加熱により死滅するため、加熱してから食べる

・生野菜や果物は食べる前に良く洗う

・期限内に食べる。開封後はすぐに食べきる

・冷蔵庫を過信しない

 

3.牛肉、加熱不十分な肉

①注意点

トキソプラズマ症に気を付ける必要があります。発生頻度は低いですが、妊婦が初めて感染した場合は胎児にも感染が及ぶことがあり注意が必要です。感染すると、流産、死産、また、脳や眼の障害などが生じることがあります。

 

②原因となる食品の例

・加熱不十分な中まで火が通っていないレアや、ミディアムの肉

・よく洗っていない果物、野菜

 

③感染予防方法

肉は十分に加熱し、野菜や果物はよく洗って食べましょう。

 

4.その他

上記の他にも、胎児に影響するため、アルコール類やカフェインを含む食品は控えるようにしましょう。カフェインについては、紅茶・ココア・コーラは同程度のカフェインを、コーヒーはこれらの倍量のカフェインを含みます。そのため、WHO(世界保健機関)は、一日のカフェイン摂取は300㎎(コーヒーで一日3~4杯程度)までに抑えるべきだと述べています。飲み物は、カフェインなしのデカフェコーヒーやタンポポコーヒー、ハーブティ(妊婦が飲んで良いもの)などを選ぶと良いでしょう。

 

 

おわりに

妊娠中避ける方が良いもの、摂った方が良いものなど、あれこれと書きましたが、妊娠時は控えるものもあり、これまでと同じ食生活が叶わないことにストレスを感じるかもしれません。しかし、赤ちゃんと一心同体なのはたった10ヵ月、時が来れば食べたいものも食べられるようになります!ストレスがたまった際には、ご自身の趣味など取り入れてリフレッシュができると良いでしょう。

Written by 中村理紗

中村理紗

5年間保育園にて食育に携わる。その後、小学校でのアメリカ西海岸発祥のエディブルスクールヤード(食べられる庭)食教育プロジェクトに参画。同時に渋谷にてオーガニックレストランのキッチンで調理を学ぶ。主人の駐在にて渡米し、MDにて2年間を過ごし、妊娠初期から子育てを経験。日本人コミュニティーフリーペーパー、『さくら新聞』にて「アメリカで豊かな食生活」をテーマにレシピを連載するとともに、日本人向けの離乳食講座を開催。現在は、子育てを中心にした生活を送る。